(教育庁) |
府立■■高等学校のB教諭につきまして、当該教諭の状況、指導状況および対応方法の説明をいたします。当該教諭ですが、昭和58年4月に採用されまして、令和2年度に再任用となりました。現任校である■■高等学校に着任しまして、今年度本府採用40年目、再任用3年目となります。B教諭は過去に平成27年4月1日から平成28年3月31日まで指導改善研修を受けております。詳細につきましては、後ほどご報告いたします。次に、昨年度までのB教諭の状況ですが、平成24年度から平成27年度は府立■■高等学校に在任しておりました。■■高校1年目の平成24年度に当該教諭が生徒に対して厳しく指導する傾向があるということで、当時の校長から教員評価支援チームによる学校訪問の要請がありました。当該教諭は書道の専門性は高いのですが、生徒への要求レベルが非常に高く、全ての生徒に自身が想定したレベルを要求し、厳しい指導を行っている状況でした。そのような中で、平成26年度に当該教諭がいきなりある生徒の右大腿部、太ももを、自身の右足の甲で蹴り上げる、何も言わずに急に蹴り上げるという体罰を行いました。この自らの行為につきまして、一旦は反省の弁を述べたものの、その後の府教委による事情聴取では「現在も体罰とは思っていません」ですとか、「一番怪我のないお尻を蹴っている」ですとか、そのような発言をしまして、自分が生徒への服装指導をした、その自身の正当性を主張するといった形で、自らの行為の違法性を認識するところが全くないような状況でした。以上のことから、平成27年3月26日に減給3月の懲戒処分を行うとともに、同年4月1日から指導改善研修を実施することになりました。研修当初、当該教諭は自らの威圧的な指導方法につきまして、「厳しさは必要である」と改善する意思はないと断言するなど、生徒の心を理解して柔軟な対応をしようという状況にはない状況でした。研修が進むにつれ、当該教諭の中で体罰は決して許されない行為であるという理解は確実に進みました。また、「他の教員と連携する」ことや、「生徒に指導方針や資料内容をまず丁寧に説明して理解させてから、厳しく指導する」ことが大事だということについては、必ず取り組むという主張もしたことから、平成28年3月31日で研修を終了しまして同年4月1日から職場復帰することになりました。平成28年度から、令和元年度につきましては府立■■高等学校勤務となりましたが、平成28年度・29年度の校長からは、当該教諭について教育庁として報告を受けていません。平成30年度に赴任をした当時の校長に聞きましたところ、その校長が着任した際には、前任の校長から当該教諭は生徒や教員とトラブルを起こすことがあるとの引き継ぎを受けていたとのことでした。そして実際に平成30年度に生徒や教員とのトラブルが起こりまして、その都度、校長から当該教諭に対して指導や説諭をしたとのことですが、特に生徒対応については、「生徒に寄り添って指導しないと教育効果がありませんよ」ということで何度も本人に指導したということですが、当該教諭は大きな声で反論をする、そのような状況が続いたということです。また指導の度に、この当該教諭は何を主張したかと言いますと、自分は指導改善研修の指導員から、「授業のやり方は間違っていない、正しい、変える必要はないと言ってもらった。なのに、なぜ校長にこんなこと言われないといけないのだ」といった反論を繰り返したとのことです。この指導員の発言について、当時の指導改善研修での指導記録を、大阪府教育センターの方に確認をしてもらいましたが、そのような発言の記録はなく、当時の指導員は「信念はいいけれども、生徒への接し方については改善する必要がある」といった趣旨のことを指導していたので、本人がその指導員の発言を自身の都合のいいように切り取って、受け止めているということが推察されます。そのような状況であったため、平成30年度に教員評価支援チームで学校訪問をいたしました。授業そのものに問題はないものの、やはり生徒に対する言葉遣いは感情的なところがあり、一部の生徒に対して乱暴な言い方で指導するということがありました。訪問者がそのような発言について、当該教諭に注意をするように指導しても取り合わず、また課題未提出の生徒への指導が非常に強い言葉であったので、そのことについて苦情が出たということを指摘したときにも当該教諭は「それをやってない生徒が悪いのだ」との一点張りであるという状況でした。その後、令和2年4月に現任校である■■高等学校に着任をしました。令和2年度に教員評価支援チームによる学校訪問を行いましたが、生徒への説明の口調は依然としてかなり厳しく、「アホ」であるとか、「頭のネジが外れている」といった、人格否定的な発言も見受けられ、おとなしい生徒が萎縮するというような場面が見受けられました。それを受けまして当該教諭に改善するように厳しく説諭をしました。しかし、当該教諭は改善しようとせず、訪問者に対して挑発的な発言をしてくるという状況でした。学校からは授業以外で、廊下で歩いている生徒に「猿が居る」であるとか、「お前ら何度も言わせたらアホに言っているみたいや」ですとか「お前ら単位いらんのか」などの言動があったとの報告もありました。これらの発言につきましては学校として対応されて、校長から指導したということで、処分案件としては上がってきませんでした。そして、令和3年度になりまして、現在の校長が■■高校に赴任しました。前任の校長から当該教諭について、課題のある教員として引き継いだということで、赴任当初から現校長からは教員評価支援チームの派遣について依頼をしたいと考えているというお話がありましたが、校長から、今のところ、校長からの指導の話も一応落ち着いて聞いている状況なので、派遣は先に延ばしてほしいというお話がありました。令和3年度は管理職を中心に当該教諭を指導しておりまして、教員評価支援チームの派遣はそのような事情から、当初は行っておりませんでしたが、令和3年度末には再び校長から、やはり管理職だけでの指導に加えて教員評価支援チームを派遣してほしいとの依頼がありました。校長と調整をした結果、次年度、今年度になりますが、定期的に訪問するということになりました。次に、今年度の状況です。直近の11月9日まで計7回、教員評価支援チームによる学校訪問を行いました。まず6月8日の第1回目の訪問では、生徒への指示や声かけが一部の生徒には厳しく聞こえるような、人権に配慮しているとは言えない状況でした。必要以上に厳しいだけの授業と感じている生徒もいました。また学校において、先ほどお話もありました『安全で安心な学校生活を過ごすために』というアンケートを学校で実施しましたが、数名の生徒からは「書道の授業が嫌」、「学校を辞めたい」、「欠点つけるぞと脅かされている」などの回答が出てきたとのことで、校長や教頭が当該教諭に説諭しまして、「厳しく言わずに諭せば良いのだ」という指導しましたが、それでも当該教諭は「教育に対する信念は変えない。厳しさは必要だ」と頑として受け入れず、改善の意思が見受けられない状況でした。2回目の訪問では、まだ当該教諭の授業スタイルに慣れていない1年生の授業を見ることとなりました。慣れていないので、なかなか当該教諭の思うとおりに動けない生徒たちもいますが、当該教諭の高圧的な話し方や言葉遣い、またちょっとイライラしたような当該教諭の様子もあって、生徒が萎縮している場面が見受けられました。また、このときには書道道具を忘れた生徒に、雑巾で床についた墨の汚れを拭かせるという作業をさせ、校長からやめるようにという指示をしましたが、非常に当該教諭は納得せずに、生徒に対して、その不満を大きな声で漏らすというような場面がありました。その後の授業観察後の研究協議において、訪問者の方から、生徒が萎縮するような説明等を改善するよう指導しましたが、当該教諭は興奮して乱暴な口調で反論をし、持論を繰り返しました。3回目の訪問でも、状況としては同じような厳しい授業がありまして、研究協議において、「やはり支援が必要な生徒に、もっと寄り添った指導が必要ですよ」と指摘しましたが、当該教諭は「小学校、中学校できっちりやってないからこうなるのだ」、「生徒を困らせたら駄目なのか」と、反対に質問するなど、生徒理解に欠ける発言を行っていました。4回目の訪問でも、プレッシャーにより萎縮してしまって、当該教諭の授業は、本人は教卓にいて生徒が教卓に行って添削指導を受けるというスタイルですが、なかなかその添削指導を受けに行くことができない、そういう生徒がいる状況でした。その後の研究協議において、この書道の授業に対して提出された診断書がありました。生徒が書道の授業でプレッシャーを感じているということで、後ほど説明いたしますが、診断書が出まして、そのことについて、この研究協議の場で話をしましたら、非常に興奮しまして、「自分の責任ではない」、「自分だけの責任ではない」という主張をしていました。この診断書と申しますのは、実は2回、出されています。申し上げますと、令和3年1月ですので令和2年度になりますが、このときに当時の3年生の男子生徒から、そして、今年度は令和4年9月20日付けで女子生徒から診断書が出てまいりました。ともに書道の授業による負担ですとか、ストレスについて示している診断書でした。続く5回目、6回目及び7回目の訪問でも、生徒への配慮は十分とは言えず、研究協議で指導を行った際には、同じように興奮して反論をし、自身の課題というものを全く受け入れる、受け止める姿勢はないという状況でした。校長の所見ですが、校長からは「書道の専門性は高く自分なりの使命を持っているが、社会や価値観の変化や子どもたちの変化に対応できておらず、旧態依然の方針で生徒を指導している。生徒にとって理解しがたい状況は継続していることが、授業アンケート結果にも表れている。また、生徒指導に係る他の教員との協調についても課題があり、指導方法の抜本的な改善が求められる」とのコメントをもらっています。次に教育委員会の対応としまして、当該教員に対して、平成27年度に1年にわたり指導改善研修を行ったにもかかわらず、復帰後も課題があり、当該教諭への指導を行ってきましたが、生徒の心理を理解する能力や意欲に欠けるとともに、生徒の人権についての理解が全くできないなど、学習指導や生徒指導において改善が見受けられず、基本的なスキルが備わっていないと言わざるを得ない状況です。今回、B教諭に指導改善研修を行いまして、@生徒の視点に立って物事を考え、生徒を指導していく力、A人権尊重の視点に立ち、自らの固定的な教育観を改善する力、B現在の状況を自己認知し、課題について自ら分析し改善していく力。この3つの力をつけさせる研修を行いたいと考えています。研修は令和4年12月1日より、令和5年3月31日までの研修と考えています。次に、研修内容です。12月1日から12月31日までの間、研修の初期段階として、前回の指導改善研修で学んだことを振り返らせます。そして、授業における適切な生徒指導ができていないことを理解し、研修の必要性を自覚してもらいます。改善すべき課題について、研修生自身と指導員との間で共有を図り、生徒指導に対する考え方や指導方法について重点的に考えて、課題を明確化させるという目標のもと、課題作文を書かせたり、指導員との面談等を実施しながら研修を行っていきたいと考えています。併せて、臨床心理士にどのように研修を進めていけばよいかも助言をもらいながら、他者との関係、ソーシャルスキルも身につけさせたいと考えています。その上で12月下旬に、教職員人事課と教育センターで検討会を行いまして、改善が見られない場合は、研修初期のものを繰り返し実施し、改善が進んでいる場合は、状況が良好と判断できた場合の研修目標、内容で進めていきたいと考えています。また、冒頭で当該教員の紹介としてお伝えしたように当該教諭は再任用の職員です。再任用制度といいますのは定年退職等により一旦退職した者を1年以内の任期を定めて、改めて常時勤務を要する職または短時間勤務の職に採用することができる制度でありまして、再任用の更新にあたっては、毎年度末に可否を判断しております。研修の改善が見られない場合は、今後の研修の方向性について検討を行ってまいりたいと思います。次に本人から意見書が提出されております。短い文章ではありますが、「改善途上であるが」という記載があり、このような発言は、これまでの訪問では一度もなく、今回初めて出てきたのですが、ただ、その後に10月11日に指導員から理想的な授業だとの発言があったように書かれています。しかし、この日に訪問しました大阪府教育センター学校経営研究室の指導員に確認をしましたところ、「単純に書道の技を極めたいと思う生徒には良いかもしれない。その意味では、ある意味理想的かもしれないけれども、やはり考えてもわからない生徒や、自分をうまく表現できない生徒、気の弱い生徒は厳しい教師のいる前の机に行き作品を見てもらうことはやっぱり苦痛だと。その点をちゃんと配慮しないといけない、そういう配慮をする対応が必要であると伝えた」と確認ができておりますので、単に理想的な授業などということは言っていないということです。先ほどご紹介しました、前回の指導改善研修で指導員にこう言われたと言っていたことと共通しますように、やはり他者の発言を自身の都合のいいように切り取って受け止めて、自身の主張の根拠としている、ここでも同じことをしていることが窺える状況です。説明については以上になります。ご審議、よろしくお願いいたします。 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(委員) |
ありがとうございます。それでは委員の方々で、何かご質問ご意見がございましたら、よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。はい、お願いいたします。 |
(委員) |
先ほど説明いただきました研修内容の一番最後の部分について、再任用の更新に関して検討を行うという話がありましたが、業務確認はできないですが、もしかすると雇い止めに当たっては一定期間前に更新しないという話を伝える必要があるという話になるかもしれないですが、この検討については12月末や1月からの状況が良好と判断できた場合、この時点で行うのか、その次の3月1日からの状況が良好と判断された場合、ここの3月前での判断、検討で行うのか、どの段階で更新等の検討を行うのか、お考えでしょうか。 |
(教育庁) |
ご指摘のとおり、研修内容の前期が12月31日までですが、やはり、まず初期段階がクリアできるかどうかは一つの大きなところかと思います。ただ再任用の可否の会議が年明けになりますので、その時の状況、改善の状況で、本当に現場に戻せるような状況まで、戻るぐらいの変化がその時点で、2月の時点で確認できればいいのですが、そうでない場合、一旦2月の会議は保留のままにしまして、3月の段階まで見極めを延ばすという形になります。3月の中旬までの様子を見て、そこでの判断となる予定です。 |
(委員) |
更新の可否については、その他の再任用の教員の方々についても、だいたい3月頃に通知されるということなのですか。 |
(委員) |
実際の結果は3月末です。 |
(委員) |
この方ではなくて、他の方々の更新の際はどのぐらいですか。 |
(教育庁) |
失礼しました。2月に結果通知をいたします。 |
(委員) |
この方については、3月にずれ込むかもしれないということですかね。 |
(教育庁) |
そのとおりです。この方以外でも保留になる事情がある方は3月に通知となる場合もあります。 |
(委員) |
わかりました。ありがとうございます。 |
(委員) |
ご意見ありがとうございました。委員の先生方、いかがでしょうか。はい。お願いします。 |
(委員) |
もう長年、このスタイルをされてきた先生ということで、非常に変わっていくのは難しいと思うのですが、一番気になるところは、あの体罰はよくないと言ってはおられますが、厳しさが必要だということの中に、場合によっては手を出す必要がある、みたいなことが少し感じられるところです。厳しさが必要だというのは確かに理解できるところなのですが、それは、暴言とか暴力とか、恐怖を与えて支配することではなくて、やはり自分で責任を持てること、自分のやったことの結果を自分で知ること、それは結果の引き受けができないお子さんの場合は、一緒に手伝って、その結果の引き受けとか責任の取り方を練習していくと言うか、付き合うということも学校の教育の大事なところかなと思います。そういった厳しさと、そういう恐怖との違いを明確にしてお伝えする必要があると思いました。あと一点は、こちらの資料にも繰り返されていますが、おそらく書道の指導は非常に優秀というか、書道が本当にやりたくて、どんどん厳しくてもやっていきたいっていうお子さんにとっては、理想的なところもあるのかもしれないと思います。ただ、本当に授業の中で何が大事かというと、教科を通して自分の生かし方を子どもさんが身につけていく、それは書道が上手になってすごい作品を作るということではなくて、そのプロセスの中で学ぶ楽しさとか、あるいは自分なりにここまでできたというような自分への肯定感とか、そういったものを体験していただくのが、やはり大事かと思いますので、それぞれの子どもさんの対応、こちらに書いてあるとおりですが、レベルであるとか、本来の教育でめざされるものを、こちらの先生としっかり共有して指導を進めていく、研修を進めていく必要があると思いました。 |
(委員) |
ご意見ありがとうございます。はい、お願いいたします。 |
(委員) |
私も委員とかなり同じような感想を持ちました。あわせまして、多分この年齢の先生はなかなか変わるのが難しいというか、考えを変えること自体も難しいと思いますが、もし、この先生に積極的に話をする糸口になるものがあるとすれば、この先生、国語の免許も持っておられるのですが、ただその人権面ということだけではなくて、今、学習指導要領などで言語活動とか、やっぱりそういうことをすごく言われていると思います。だから、そこの変化、学習指導要領に基づかないといけないというあたりで言うと、この先生のお使いになっている言葉というのは、国語の免許をお持ちで書道の先生としては、かなりその面からも不適切なのかと。だから、そのあたりのところを、例えばこう対応しなさいではなくて、専門性の分野で、そこから紐解いていくと、もしかしたら納得をされる、そういうふうに今、変化してきているのだということを、そこからお知りになれば、もしかしたら改善の手立てになっていくのではないかと思いました。 |
(委員) |
ありがとうございます。いかがでしょうか。司会をしながらですが、校長先生の所見やその他のところでも、当該の先生は、教科の専門性が高いっていうこと、訪問指導の中でも思っておられるところがありますが、今、委員からのご意見にもありますように、書道教員としての専門性ということで、専門性というと、教科の専門性をもちろん基本として求められるところですが、課題になっております指導力、生徒対応とはどのような学びができるように、主体的対話的な深い学びということも大きな課題になっていますが、そのあたりのところを、どう授業の中で、子どもたちに保障していくかというところが、教科の専門性というところでは、教員としてはそのあたりのところが求められて、大きいという辺りのところが、やはり研修の中でも入れていただいているところですが、そこの理解を深めていただくことが、指導の方にも返っていくと思います。本人の今思っておられる自己評価と求められているものというところを、ギャップを埋めるような形がぜひ必要で、そのことが、やはり授業を受ける生徒にとって、安心して受けられるというところにもつながっていくと思いますので、その辺のところ、研修内容で上げていただいているようなところは、大事にしていただけたらと思います。委員の先生方、その他、違った観点から何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。いくつか、議案のところに上げていただいたことについてのご意見も出していただいたかと思います。それでは提案していただいております第2号議案ですが、令和4年12月1日より令和5年3月31日まで指導改善研修を実施するということで、審議会として、了承してよろしいでしょうか。 |